2010.04.30 Friday

山崎豊子「不毛地帯(一)」を読みました

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     山崎豊子著
    「不毛地帯(一)」
    新潮文庫

    職場の人と本の話になり、やっぱり山崎豊子は面白いという話になった。その人は私よりもたくさん山崎作品を読んでいて、是非ということで「不毛地帯」を貸していただいた。ちょっと読んだら止まらなくなってしまったが、なんせ一冊のページ数がすごい。600ページを超えるので、読んでも読んでも進まない感じがする。それがシベリア抑留という物語のはじまりと符号するようであった。
    ドラマの前半は見ていたので頭に描きながら読み進める。配役も小説の印象とぴったりである。

    私に中学校の国語の先生でソ連の捕虜になっていたという先生がいた。とても面白い先生だったが時に厳しく、国語の本読みで読めない漢字で詰まると「箒持って来い!」といってその生徒の顔をさっと掃く。もちろん床を掃いたものだし、「なるべく汚いの持って来い」という先生の指示もあり、本人はもちろん見ている方も辛い光景だった。箒がぬらした雑巾になることもあり悲惨だったが、陰湿な先生ではなく、むしろ「ちゃんとせーよ」という強いメッセージがこもったお仕置きだった。その先生がどんな兵隊さんだったかは忘れてしまったが、手首を弾が貫通したといっていた。これが先生の売りでもあったのだが、この本を読んだ後では先生がどんな扱いを受けて、どんな長さの時間を過ごしたかということを想像すると胸が苦しくなる。中学生だった私たちはまた始まったという程度でしか聞いていなかったけれど、今となっては戦争体験、捕虜体験を聞くことはできない貴重な時間であった。先生はお元気だろうか。

    2010.04.30 Friday

    須賀敦子全集第1巻を読みました

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      須賀敦子著
      「須賀敦子全集 第1巻 ミラノ 霧の風景 コルシア書店の仲間たち 旅のあいまに」
      河出文庫
      950円(税別)

      読み始めて、とても文章のうまい人だなと思った。日々ちょっと読み捨て的な本を読んでいたり、あらすじに夢中になっていると、こういう心を尽くして書いたものって新鮮だし、読書に対しての認識を新たに、そして改めさせられる。もちろん自分が書くものに対しても。
      もう一つ思ったことは、この人の書くイタリア語を見てみたい。きっとイタリア人の書くイタリア語とは違うだろうけれど、言葉を使うのが上手な人というのはどの言語でも同じようにその力を発揮できると思うから。いつの日か探し当てたい。
      この人はミラノに長く住んでいたからミラノの話が多い。街だけではなくミラノ人の話も多く出てくる。私はどちらかというと南のほうが好きなので、ミラノの街にはあまり見識がないけれど運河の話は面白かった。前少し書いたけれど、ミランポイントに行く途中のあの川の切れ端はやはり運河であった。少しでも知っているところが出てくるとうれしい。そういう意味では少しの文章であるけれど、ナポリの話が出ていてとてもうれしかった。イタリアの街はどんなに時間がたっても変わらない良さと悪さを感じられる。
      今イタリアの地理について勉強中なので、トリエステのこともだんだんわかってきたし、歴史のことも少々。右とか左のことも少々。まあそのレベルなので、今のイタリア語のクラスを終えたてもう一度読んでみるともっと理解出来ることも多いと思う。
      街の話以外に出てくる人との付き合いとその描写。とても興味深い。人との温かい触れ合い、冷たい関係、それとは別の角度の冷静な目。この距離感で人を描いていて、立体的に浮き上がってくるようだった。そういう意味では昨日見た「ハートの問題」の人間描写でも同じで、一方向ではなくその人のいいところ悪いところ、日常と非日常を表現することによって、人間が、その人の人生が生々しく浮かび上がってくるものだ。自分が読んだり見たりすることはできるけれど、それを実際に表現するのは簡単なことではないんだなあと改めて思った。
      須賀敦子の書くものの多くは夫ジュゼッピーノの亡くなったあとのものらしく、全体的にモノトーンの紗がかかったような不透明感がある。もうジュゼッピーノがいないということが言葉の端々にこぼれるようににじんでいる。それが魅力でもあり、読んでいる側に息苦しさを与えるときもある。愛の息苦しさだろうか。

      2010.04.29 Thursday

      イタリア映画祭で「ハートの問題」を観てきました

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        今日はイタリア映画祭(有楽町・朝日ホール)で「ハートの問題」を観てきました。原題は"Questione di cuore"。cuoreは心臓という意味もあるし、心という意味もある。
        アルベルトとアンジェロという二人の男が物語を作っていく。ふたりとも心筋梗塞で集中治療室で隣同士になる。そして意気投合。ここまではアメリカ映画でもよくある感じなんだけど、本当の物語はこの後に始まる。病気がだんだん治ってきた人と死期を悟ってしまう人。二人は離れがたく、一緒に暮らしたり、ヴァカンスを過ごしたりする。
        イタリア人が作る映画だから、イタリア人の感じるままの感じ方、振る舞い方が表現されているのかもしれない。なぜそう思ったかというと、淋しいから一緒にいたいという気持ち、相手が淋しいだろうと察して楽しませてあげたいという気持ち。それが控えめではなく行動で相手に示している。日本人だったら訳のわかんないおじさんが一緒に家に暮らしていたり、家族を慰めていたらきっとなんだかへんてこな物語になってしまうだろう。「哀れみ」とか「淋しさ」という気持ちが根底にあるのは、イタリアの文化そのものじゃないかあというしみじみとした気持ちになる。日本人である私もこの濃さと暑苦しさが恋しくなる時もある。いい映画だったな。

        2010.04.28 Wednesday

        腕で泳ぐ!、プール3

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          今日は650M。
           平50
           クロール(プル)50
           平50
           クロール(プル)50
           ウォーキング
           平50
           クロール(プル)50
           平50
           クロール(プル)50
           ウォーキング
           平50
           クロール(プル)50
           平50
           クロール(プル)50
           クロール50
           ウォーキング

          プルの練習もなかなかいいもので、スイミングスクールに通っていたときは本当に苦痛だったけれど今となっては鍛えがいのあるドリルである。
          今日は雨だけれどほどほどに人がいて、人がいるのも淋しくなくていいなと思っていたら、休憩の時間になるに連れ、一人また一人と帰っていく。休憩5分前には私とおばさんの2人になってしまった。おばさんは休憩のあとにまだ泳ぐつもりだったらしく、更衣室で着替えていたら一人ぼっちになって淋しいと話しかけてきた。案外自然に話をすることができて、イタリアではこうして自然に話してたよなあと考えてしまう。
          2010.04.27 Tuesday

          春雨の日の決意。制作のために。

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            朝家を出るときや電車に乗っていると、近いうちにこれをやりたいという気持ちがとても膨らんでいることがよくある。やりたいの中身はいろいろで、お料理的な実質的なことから、泳ぎたいだとか、絵を描きたいという趣味的なことまで多岐に渡っているのだけれど、うちに帰ってくるとそんなことを考えていたことすらどこかに行ってしまっている。しぼむどころか跡形もない。最近は特に絵を描きたい。毎日思うけれど、それは毎日同じレベルまでしか引き上がらない。んまあ、人間そんな程度かなという気もするけれど、そろそろ殻を破るとき、いや破らねばならないときじゃないかという気がしてきた。なにも大賞をめざすというわけではないのだから、自分のために。まずは下絵を作ってみることにしよう。そう、それは明日。

            2010.04.26 Monday

            映画「第9地区」を観てきました

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              映画「第9地区」を丸の内ピカデリー(有楽町マリオン)で観てきました。
              2階席はほぼいっぱいで下も半分くらいまで入っていたようです。
              いつもならば映画を見たあと結構ああでもないこうでもないと考えるんですが、今回は終わったというだけでした。かといって面白くなかったわけでもなく、うまく説明できないのだけれど、思っていた感じとは違いました。先日の「月に囚われた男」をSFとするならば、こちらは友情物語でした。だれとだれの?というのは見てお確かめください。あともうひとつ思ったのは、低予算映画と聞いていたわりには、最後の名前のところにものすごくたくさんの人の名前があり驚きました。
              自分の南アフリカ共和国に対する知識の乏しさにややがっかりしましたが、今年はここでワールドカップサッカーがあるのかと思うと、なぜかメインスタジアムの上にあのでかい宇宙船がとどまっている姿を想像してしまった。単純でしょうか。

              2010.04.26 Monday

              銀座「酒の穴」よ、ふたたび!

              0
                いつも銀座に行くと何を食べようか悩むのだけれど、昨日発掘した「酒の穴」はすばらしかった。昔からここが日本酒の専門店であることは知っていて、場所も知っていたけれど、なぜか足を向けたことはなかった。今回はじめて行って、いままでなぜ行かなかったのかと後悔したほど。
                「らん月」というお店がビル全部を経営していて、食べる料理によって階が分かれている。我が家では三笠會館方式と呼んでいる。「酒の穴」は地下にあり、銀座通りからでも裏通りからでも入れる。長いウナギの寝床のようなお店。給仕をしている女性は着物姿でキビキビしていて気持ちよし。
                私は「穴丼」(1000円)というのを注文。日曜日に30食限定とのこと。前日にあさくま(武蔵小杉)で大外しをしているだけに、期待が高くまた期待を裏切らないおいしさだった。丼の上にはすき焼き(らん月はすき焼きの専門店だった)、しらす、お刺身(まぐろやブリ)が載っていて、それに卵ととろろと醤油で作られたタレを掛けていただく。すき焼きがとてもおいしく夢中になって食べた。味噌汁のお椀のふたを取るのを忘れほどに。すき焼き、しらす、お刺身の順にあまり混ぜないで食べてみた。端からの切り崩し作戦はなかなか楽しい。
                他にもすき焼き丼やお刺身の定食なども充実している。ここの名物(たぶん)は肉じゃがとか茶碗蒸しとか10品くらいのメニューから3つ組み合わせる定食があり、次回は絶対にこれをチャレンジしたい。
                もし夜行けるのならば、各テーブルに設置されたお燗する機械で日本酒をお燗していただいてみたい。銅でできていてぴかぴかにしてあり、すらばしい。これが1テーブルに1つとは!ぜひぜひ。

                2010.04.25 Sunday

                今日買った本 4月25日

                0
                  今日は映画「第九地区」を見るために有楽町に行ったので、三省堂書店へ。購入を決めた順に。

                  桐野夏生「東京島」(新潮文庫)
                   文庫化になったことを知って興奮。
                   こんなに早く文庫化していいのだろうかと心配になる。
                   帯には「孤島には31人の男とたった1人の女」
                   今年の夏映画化が決定。たった一人の女子は木村多江が演じるようです。

                  三島由紀夫「お嬢さん」(角川文庫)
                   角川の三島作品は軽いのが多くて面白い。
                   帯には「婚活女子を先取りした幻のエンターテイメント作品、初文庫化!」
                   三島由紀夫の笑顔も。

                  川上健一「渾身(こんしん)」集英社文庫
                   隠岐のお相撲のお話なんですって。
                   隠岐で相撲といえば隱岐海。

                  よしもとばなな「大人の水ぼうそう」(新潮文庫)
                   買うつもりはなかった。
                   HPにも公開しているよしもとばななの日記。
                   HPでも読めるのならばといつも思い、手にとっては戻してしまうのだけれど
                   今回はなぜか一行読んだら我慢できず買ってしまった。

                  今日の買い物もいい買い物だった。
                  お昼に食べた銀座「酒の穴」のランチに大満足。どうして今まで行かなかったのかと悔やまれるほど。食べてよし、買い物してよし、映画はまあまあの日曜日だった。

                  2010.04.24 Saturday

                  イタリアの地理と、古典的たい焼き

                  0
                    イタリアの地理について勉強している。行ったことあるところはだいたいわかるけれど、行ったことのないところはさっぱりわからない。県庁所在地も分からないところが多い。川の名前もひとつも知らなかった。こういうレベルになると世界遺産を訪れたことがあるというのは無意味に感じる。山脈も知らなかった。火山は少しだけ知っているけれど、北のほうの山はさっぱりだった。海の名前も少ししか分からない。ミシュランの緑のガイドと地図とイタリア観光協会の地図を広げてひたすら調べる。こうなるとイタリアの白地図が欲しくなる。覚えたいという強い欲求。そうこの気持ち。勉強したい。観光という領域を飛び出して、イタリアの文化や社会を知りたいという私の目的にやっと到達してきた。
                    今日のお昼、隣の街に歩いて散歩に行ってみた。鉄道や道路が立体的に交差していて、車の交通量も多く、かなりほこりっぽい。線路の脇にも民家があり、どんなところでも住めば都なんだなあと考えながら歩く。帰りにたい焼きを買う。このお店も線路の下にある。今流行の白でもなければ、薄焼きでもない、分厚いたい焼きだった。うちに帰って食べてみる。まるでおまんじゅうのようなもこもこしていてふわふわしている。あんこがはみ出していて、ずっしりと重い。イタリア人にとっては豆が甘いなんて信じられないらしい。私は日本人なんだなあと実感。勢いで2つも食べてしまった。とってもおいしかった。たい焼き最高!

                    2010.04.23 Friday

                    雨の日に泳ぐ人は少ない、プール2

                    0
                      今日は小雨というか霧雨の中、プールへ。半分は水泳教室の金曜日。いつも混んでいたからどうかなと思っていたら、3コースの面積にひとり。仙人のような老人がゆっくりとウォーキングを繰り返していた。まるで時間が止まっているかのような水面。老人の帰ったあとは精力的に泳ぐ外国人男性。入れ替わりはあるけれど、いつもいるのは二人。
                      今日は600。しばらくこのペースで行く予定。筋力も衰えているし。

                      平50
                      クロール50
                      平50
                      クロール(プルのみ)50
                      ウォーキング
                      平50
                      クロール(プルのみ)50
                      平50
                      クロール(プルのみ)50
                      ウォーキング
                      クロール(プルのみ)100
                      平100
                      ウォーキング

                      筋力の衰えはキックよりもプルの方が問題。しばらくはクロールのプルを鍛えて、キックは平に任せたい。仕事をやめたらまたどこかの水泳教室に入って泳力を取り戻したい。イタリアでは海で泳いで黒くなりたい。真っ黒に!

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